はじめに

「運動はちょっと苦手」

「学校の人間関係に、少し疲れてきたみたい……」

そんな風に感じているお子さんに、ぜひ手に取ってほしい一冊があります。

それが、吉野万里子さんの小説『チーム』です。

この作品は、いわゆる熱血スポーツものではありません。

実力も性格もバラバラな中学生たちが、ぶつかり合いながら少しずつ自分の居場所を見つけていく――

とてもリアルで、等身大の物語です。

あらすじ:寄せ集めの「中学選抜チーム」の挑戦

主人公は、卓球部に所属する中学3年生・大地。

彼は県選抜チームのメンバーに選ばれますが、集まったのは実力も考え方もバラバラな5人でした。

  • 実力はあるが、プライドが高く孤立しがちなエース
  • お調子者でムードメーカーだが、どこか本気になりきれない選手
  • 親の期待が重荷になっている選手

最初はまったく噛み合わず、「チーム」とは名ばかりの状態。

しかし試合を重ねる中で、彼らは少しずつ

「自分にとっての卓球」

「仲間とは何か」

に向き合っていきます。

ここが面白い!3つの注目ポイント

1. 「補欠」や「二番手」の気持ちに寄り添うリアルさ

主人公は、圧倒的な天才ではありません。

劣等感や焦り、悔しさを抱えた普通の中学生だからこそ、

「これ、わかる……」と共感できる場面がたくさんあります。

2. 卓球を知らなくても引き込まれる“心理戦”

試合描写はとても丁寧で、読んでいると思わず手に汗を握ります。

技術の説明よりも、

「相手は何を考えているのか」

「自分はどう立ち向かうのか」

といった心の動きが中心なので、卓球を知らなくても一気に読めます。

3. 「本当のチームワーク」とは何かを考えさせられる

仲良しなだけがチームじゃない。

ぶつかり合いながらも互いを認め、それぞれの役割を果たす。

その姿が、とてもかっこよく描かれています。

読書ガイド:何年生から読める?

  • おすすめ:小学5・6年生〜
  • 読みやすさ:★★★★☆

中学生が主人公ですが、文章は平易で読みやすく、

高学年なら十分に感情移入できます。

中学入学を控えた時期に読むと、部活動への期待も自然と膨らみます。

お父さん・お母さんへ

この本には、思春期の入り口に立つ男の子たちの

**「うまく言葉にできないモヤモヤ」**が詰まっています。

読み終わったあと、

「大地たち、このあとどうなったと思う?」

そんな一言から、親子の会話が生まれるかもしれません。

実際に、オンライン授業をきっかけに興味を持ち、

「手元に置いておきたい」と自分で選んだ一冊。

子どもが“自分の意思で本を好きになる”体験としても、とてもおすすめできる作品です。